本格フレンチや洋食の名店が牛すね肉を調理する際、最も時間を割くのが「下処理」の工程です。すね肉は血流の多い部位であるため、適切な前処理を怠ると独特の獣臭や雑味、濁りが煮汁全体に回り、料理のクオリティを著しく損ねます。
以下の3ステップを確実に実践することで、家庭でも雑味のない透き通った旨味だけを引き出すことが可能になります。
ステップ1:大ぶりにカットし、水にさらして血抜きを行う
すね肉は煮込むと3〜4割程度縮むため、一口大よりも一回り大きい「4〜5cm角」に切り分けます。ボウルに冷水を張り、肉を15分ほど浸して余分な血やドリップを表面から洗い流し、ペーパータオルで水気を完全に拭き取ります。
ステップ2:水からの「ブランシール(下茹で)」でアクを完全除去する
鍋にすね肉を入れ、肉が完全に浸るたっぷりの水を注ぎます。最初から熱湯に入れるのではなく、必ず水から中火で加熱してください。徐々に温度を上げることで、肉の内部に残る凝固前の血液やアクが表面に浮き上がってきます。沸騰後2〜3分ほどアクをすくいながら茹でこぼし、肉を一度ザルにあけてぬるま湯で表面の汚れを優しく洗い流します。
ステップ3:香味野菜の投入と「メイラード反応」の焼き付け
下茹で後の肉は、長ねぎの青い部分、生姜の薄切り、セロリの葉、ローリエなどの香味野菜とともに本煮込みへと進めます。シチューやカレー、赤ワイン煮にする場合は、下茹で後にフライパンに少量の油を熱し、強火で肉の表面にしっかりとした焼き色(メイラード反応)を付けます。この焼き目が煮汁に深いコクと香ばしいアロマをもたらし、肉の旨味を閉じ込めるプロの技法となります。