実際の介護現場やSNS、当事者コミュニティでは、日常生活自立度の判定を巡ってどのような葛藤が起きているのでしょうか。関係者へのヒアリングや現場の証言から、リアルな現状を浮き彫りにします。
都内の地域包括支援センターに勤務する主任ケアマネジャーは、次のように語ります。
「認知症の初期から中期にかけての判定がもっとも難航します。身体が元気で足腰がしっかりしている方ほど、障害自立度はランクJやAになりがちです。しかし実際には、ガスコンロの消し忘れや徘徊による警察保護など、24時間目が離せない危険を抱えています。家族がその疲弊を調査員にしっかり言語化して伝えられないと、コンピュータ判定で『要支援2』や『要介護1』と弾き出され、ショートステイの利用枠すら足りなくなるのが現実です」
また、要介護3を目指して区分変更申請を行った当事者家族(50代女性)の手記には、次のような切実な告白が記されています。
「母の認定調査の日、母は調査員の前で『家事は全部自分でやっています』と笑顔で嘘をつきました。調査員が帰った後、母は激しいパニックを起こして失禁。その落差に涙が出ました。2回目の申請では、事前に1週間の詳細な徘徊時間、失禁回数、冷蔵庫に靴を入れるなどの異常行動をメモにまとめ、主治医と調査員の両方に手渡しました。その結果、認知症自立度ランクⅢが正式に認められ、要介護3への変更が通りました。黙っていては実態は伝わらないと痛感しました」