トレカショップの査定カウンターや秋葉原のプレイスペースで取材を重ねると、熱狂の裏に潜むコレクターやプレイヤーたちの生々しい葛藤が浮かび上がってきます。
都内のIT企業に勤める30代の男性コレクターは、かつての新弾争奪戦を振り返りながらこう証言しました。
「発売当日の朝、有給を取って3店舗を巡り、奇跡的に確保した4BOXを開封しました。結果はすべて通常SRで、合計買取査定はわずか4,200円。投資した2万円強が一瞬で吹き飛びました。あの瞬間の虚無感は言葉になりません。SNSで見かける『1BOXでSAR自引き!』という投稿がいかに偏った現実であるかを痛感し、それ以来、どうしても欲しいカードは初動の熱が冷めた1ヶ月後にシングルで買うスタイルに切り替えました」
一方で、対戦シーンの最前線に身を置く競技プレイヤー(20代学生)の見解は異なります。
「プレイヤー目線からすると、レアリティを気にしなければデッキ構築のコストは数年前に比べて格段に下がっています。SARやURが高騰する一方で、同性能のノーマルカードやRR(ダブルレア)は数十円から数百円で大量に出回るからです。コレクション用の美術品と、ゲーム用の道具が綺麗に分離した。パックの当たり枠に一喜一憂するのは、完全にコレクターや転売層の世界の話だと割り切っています」
現場の声が示しているのは、同一のパックを購入しながらも、目的によって体験の質が180度異なるという厳然たる事実です。