藤崎竜氏による漫画版『封神演義』において、物語序盤の妲己は「贅沢三昧と残虐な刑罰を好む邪悪な妖怪仙人」として登場します。しかし、物語が進行するにつれて明かされる封神演義における妲己の正体は、単なる快楽主義の悪女ではありませんでした。
彼女のルーツは、太古の昔に地球へ飛来した最初の異星人「最初の人(始まりの人)」のひとりである女媧(じょか)の眷属であり、数千年を生き抜いてきた強大な妖怪変化・九尾の狐です。妲己が殷王朝を操り、仙界大戦を引き起こして人間界と仙人界の双方を混乱に陥れた真の理由は、地球をリセットしようと目論む女媧の存在をあぶり出し、その莫大なエネルギーを乗っ取ることにありました。
太公望や周の軍勢、仙人たちすらも、妲己にとっては「女媧を弱体化させ、自らが至高の存在へ進化するための駒」に過ぎなかったのです。悪役でありながら誰よりも先を見据えていた知略の深さこそ、本作における妲己最大の魅力といえます。