ネット上には、誤飲事故を助長しかねない不正確な情報や民間療法が氾濫しています。愛犬の命を守るためには、これらの誤解を科学的に正しく認識しておく必要があります。
第一の誤解は、「加熱調理や加工を施せば毒素は消える」という言説です。ぶどうの酒石酸やイチジクのソラレン、桃の種の青酸配糖体は、一般的な加熱調理(煮沸や電子レンジ加熱)程度で熱分解されることはありません。ぶどうジャムやパウンドケーキに入ったレーズン、アボカドオイルを使った加工食品であっても、毒性はそのまま残存します。
第二の誤解は、「皮を剥いて果肉だけにすれば何でも食べられる」という思い込みです。確かに桃やリンゴの果肉自体は犬が消化できますが、アボカドのように果肉全体にペルシンが分散している場合や、イチジクのように果肉内にフィシンが充満している果物では、皮を剥いても毒性を排除できません。
では、犬が食べていい果物と安全な適量とはどのようなものでしょうか。一般的に、リンゴ(種と芯を完全に取り除いたもの)、バナナ、イチゴ、ブルーベリー、スイカ(皮と種を除く)などは、アレルギーがなければ少量与えても問題ないとされています。ただし、これらを与える場合でも1日に必要な総摂取カロリーの10%以内(超小型犬ならティースプーン1杯程度)に抑え、主食の栄養バランスを崩さない「嗜好品」の範囲を厳守することが大前提です。