三大暴れ川の話題になると、ネット掲示板や知恵袋などで「太郎、次郎、三郎がいるなら、四郎や五郎はどこなのか?」という疑問が必ず浮上します。実際、検索候補には「越乃四郎」「陸奥五郎」といった名前が登場することがあります。
しかし、国土交通省の公式見解や歴史的な文献調査において、「四郎」や「五郎」といった公式な三大暴れ川の続きは存在しません。
ネット上で流布している説では、以下のような川が当てはめられることがあります。
- 越乃四郎(こしのしろう):信濃川(新潟・長野)を指すとする俗説
- 陸奥五郎(むつごろう):北上川(岩手・宮城)や阿武隈川(福島・宮城)を指すとする俗説
これらは江戸時代から広く呼ばれていた伝統的な異名ではなく、昭和後期から平成にかけてのクイズブームや言葉遊びの中で、「日本を代表する大河に続きをつけるとしたら何か」という文脈で後から創作されたネタ的要素が強いものです。新潟の信濃川は古くから水害の多い川でしたが、地元で「越乃四郎」と呼ばれていた確固たる文献記録はなく、役者の名前(睦五郎など)と混同された冗談が知恵袋等で拡散された側面があります。
また、もう一つの大きな誤解は「日本三大急流」との混同です。日本三大急流は富士川(山梨・静岡)、球磨川(熊本)、最上川(山形)を指します。三大暴れ川が「平野部を飲み込む大水害の規模」で語られるのに対し、三大急流は「川の傾斜角度(勾配)が急で、水の流速が異常に速いこと」に焦点を当てた分類です。この2つの基準を取り違えないことが、正しい河川地理の理解において極めて重要です。