運営者の逮捕にとどまらず、この事件が空前の社会的パニックとなった最大の要因は、「発信力を持つ多数のタレントによる虚偽の落札報告」が組織的に行われていた点にありました。警察の捜査が進むにつれ、芸能事務所や広告代理店関係者を通じて、20名を超える著名人がブログ上でペニオクサイトを紹介していた事実が浮き彫りになりました。
紹介の構図は極めて画一的でした。自宅と見られる室内で商品を持ち、「空気清浄機を1,080円で落札しちゃった!」「欲しかったアロマ加湿器が信じられない値段で買えたよ」と歓喜する様子を綴り、サイトへのリンクを貼るというものです。しかし、彼女たちが自ら落札した事実はなく、商品は代理店から無償支給され、さらに1件あたり数十万円から百万円規模の紹介報酬が支払われていました。
当時、関与が取り沙汰された代表的な著名人とその後の歩みは以下の通りです。
ほしのあき:
当時、圧倒的な人気を誇るグラビアタレント・バラエティタレントだった彼女は、ブログで空気清浄機を格安落札した体裁の記事を投稿し、約30万円の報酬を得ていたと報じられました。警察の事情聴取に対して「ペニオクの仕組みは理解しておらず、友人(松金よう子)から頼まれて掲載した」と釈明。詐欺の共犯としての刑事責任は問われなかったものの、世間からの猛烈なバッシングを浴び、無期限の芸能活動休止へと追い込まれました。その後、長い沈黙を経て、2020年代に入ってからはファッション誌や美容イベント、SNSなどで限定的な露出を再開しています。
小森純:
当時、若年層から絶大な支持を得ていたカリスマモデルの小森純は、アロマ加湿器を落札したとする虚偽記事を掲載し、約40万円の報酬を受け取っていました。事件発覚後、出演していたテレビ生放送番組で涙を流しながら「何も知らなかったとはいえ、軽率な行動でファンを裏切ってしまった」と謝罪。レギュラー番組をすべて降板し、事実上の芸能界追放となりました。彼女はその後、自身のネイルサロン経営に本腰を入れ、近年はYouTube等で当時の契約のずさんさや事務所との関係、生活が一変した苦悩を赤裸々に告白。実業家・インフルエンサーとして新たな足場を築いています。
その他、ピース・綾部祐二(後に謝罪し活動継続、渡米)、熊田曜子、東原亜希、松金よう子(紹介の仲介役として名前が浮上)など、多数のタレントが関与芸能人一覧としてメディアを賑わせました。法的な立件は見送られたものの、視聴者や読者が抱いた「裏切られた」という感情は深く、タレント生命を失うか、長期の謹慎を余儀なくされるという極めて重い代償を支払うことになりました。