マルコメのCMといえば、丸刈り頭の男の子が元気いっぱいに味噌汁を飲む姿を思い浮かべる方が大半でしょう。この実写CMがスタートしたのは1977年(昭和52年)のことでした。以来、約30年間にわたり一般公募のオーディションで選ばれた少年たちが「〇代目マルコメ君」として全国のお茶の間に笑顔を届けてきました。
しかし、2008年(平成20年)に選出された第14代マルコメ君を最後に、一般公募オーディションは静かに幕を下ろしました。公式発表資料や当時の取材記録によると、オーディション終了とキャラクター変更の背景には、単なる広告リニューアルにとどまらない複数の社会的要因が絡み合っています。
最大の要因は、社会環境の変化に伴う「坊主頭の男の子の激減」です。昭和期には野球部や学校の校則などで坊主頭の児童が身近に多数存在していましたが、平成以降は校則の見直しやライフスタイルの多様化が進み、丸刈りの小学生を探すこと自体が困難になりました。応募のためにわざわざ頭を丸める家庭も減少し、オーディションの母数維持が難しくなったことが大きな転換点となりました。
さらに、時代とともに企業の広告表現に対するコンプライアンス意識が向上したことも挙げられます。実写子役の肖像権やプライバシー、学業との両立に配慮し、企業イメージを普遍的に伝える手段として、2000年代後半以降はアニメーションやオリジナルCGキャラクター「マルコメ君」へのシフトが決定されました。