行司の衣装が語る大相撲の階級格差!短刀を帯びる覚悟と値段の真相

行司の衣装が語る大相撲の階級格差!短刀を帯びる覚悟と値段の真相

行司の衣装が語る大相撲の階級格差!短刀を帯びる覚悟と値段の真相の全貌を詳しく解説してご紹介します。

大相撲の行司が着用している衣装は、「直垂(ひたたれ)」と呼ばれる中世の武家装束が原型となっています。頭には漆で塗り固められた「烏帽子(えぼし)」を戴き、手には勝負を指示する「軍配(ぐんばい)」を握りますが、その細部の仕様は所属する階級によって細かく規定されています。

現在、日本相撲協会における行司の定員は45名前後。その階級組織は、最高位の「立行司(たてぎょうじ)」を筆頭に、「三役格」「幕内格」「十両格」「幕下格」「三段目格」「序二段格」「序ノ口格」の計8段階で構成される完全なピラミッド構造です。

なかでも階級を一瞬で見極める決定的な目印が、直垂の各所にあしらわれた「菊綴(きくとじ)」(房状の飾り結び)と、軍配から垂れる「房の色」です。この配色は身分秩序そのものを視覚化したものであり、下位の行司が上位の色を用いることは固く禁じられています。

項目(行司の階級)詳細・数値データ(装束・菊綴・房の色)一般的な基準・相場(履物・所持品)編集部の見解・評価立行司
(木村庄之助・式守伊之助) 庄之助:総紫(深紫)
伊之助:紫白
最高級の絹織物(正絹) 履物:草履・足袋
所持品:短刀・印籠結びの一番を裁く最高権威。紫は古代より最高位を表す禁色であり、極限の覚悟を背負う。三役格行司朱(朱色)の房・菊綴 履物:草履・足袋
所持品:印籠のみ(短刀なし) 大関や関脇・小結の取組を担当。草履を履くことが許される「足元の上流階級」の境界線。幕内格行司紅白の房・菊綴 履物:白足袋のみ(土俵上での草履不可)
所持品:印籠なし 前頭の取組を担当。ここから装束の裾を垂らして着こなす優雅さが認められる。十両格行司青白(緑白)の房・菊綴 履物:白足袋のみ
所持品:印籠なし 関取(十両以上)の土俵を裁く資格を得た証。一人前と認められ、足袋の着用が許される。幕下格以下
(幕下・三段目・序二段・序ノ口) 幕下:青黒(緑黒)または黒
三段目以下:青(緑) 履物:完全な素足
裾をたくし上げる(股立ち) 土俵の砂を直接足裏で感じる修業時代。動きやすさを重視し、装束の裾を紐で括り上げる。 ※日本相撲協会規程および公式審判資料に基づき編集部作成。青色は日本の伝統的色彩概念(青信号と同様)に基づき、実際には深い緑色の染料が用いられます。

最高位である立行司の「木村庄之助」にのみ許された「総紫」は、律令時代の冠位十二階から続く日本の最高位の色です。それに次ぐ「式守伊之助」は「紫白」の房を許され、この2名だけが「立行司」として別格の待遇を受けます。土俵下に控える行司の房を見るだけで、その取組がどれほど格式高いものであるかが瞬時に理解できる仕組みになっています。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。