秋田県立美術館の核となるのが、秋田の素封家であり美術コレクターであった平野政吉氏と藤田嗣治との深い友情によって生まれたコレクションです。公益財団法人平野政吉美術財団が管理する膨大な作品群の中でも、最高峰と称されるのが巨大壁画『秋田の行事』です。
1937年(昭和12年)、藤田が秋田市内の旧米蔵に設けたアトリエに籠もり、わずか約半年(実質的な作画期間は約15日間)で描き上げたこの壁画は、高さ3.65メートル・幅20.5メートルという驚異的なスケールを誇ります。
画面には、秋田竿燈まつり、梵天(ぼんでん)奉納、太平山三吉神社の祭礼、そして雪深い冬の暮らしなど、秋田の春夏秋冬の習俗と人々の躍動するエネルギーが、藤田特有の繊細な「乳白色の下地」と躍動的な墨の線描で見事に描き出されています。特設された2階と3階の吹き抜け展示室では、ベンチに腰掛けて壁画全体を視野に収めることができ、その圧倒的なスケール感と細部の描写力に誰もが言葉を失います。