運動生理学の視点から見ると、筋肉の使い方と神経系への刺激パターンに明確なコントラストが存在する。ピラティスが得意とするのは、骨盤底筋群、腹横筋、多裂筋といった体幹深層筋(インナーマッスル)の徹底的な再教育だ。胸式ラテラル呼吸を用い、交感神経を適度に賦活させながら骨盤や背骨をミリ単位で整えるため、体幹の安定性と姿勢改善において即効性の高い成果を生み出す。
一方のヨガは、腹式呼吸やウジャイ呼吸を主軸に据え、副交感神経を優位に導く自律神経の調整作用が際立つ。ポーズを一定時間キープするアイソメトリックな負荷によって筋肉の柔軟性と関節の可動域を広げ、脳波をリラックス状態のアルファ波へと移行させる。身体の芯を強固な鎧のように構築し直すピラティスに対し、ヨガは滞った神経伝達を解き放ち全身の巡りを整えるアプローチと言える。