バッカルファット除去における回復期間は、皮膚表面を切開する輪郭骨切り術や広範囲の脂肪吸引に比べれば短い傾向にあります。しかし、頬の深層にある脂肪塊を摘出する侵襲手術である以上、組織の炎症反応を免れることはできません。大手美容クリニックや日本美容外科学会(JSAPS)の学術集会等で報告されている経過データを統合すると、回復プロセスには明確な段階が存在します。
バッカルファットの腫れのピークは、手術当日ではなく術後2〜3日目(48〜72時間後)に訪れます。麻酔液の影響と組織の炎症性浮腫が合わさり、「親知らずを左右同時に抜いた直後のような下膨れ」と表現される丸みを帯びた輪郭になります。この時期は顔全体が丸く張った感覚を覚え、口の開けにくさや軽い鈍痛を自覚することが一般的です。
その後、術後4〜5日目から急激に腫れが引き始め、術後1週間が経過する頃には大きなむくみの約70%が消失します。ただし、取り出した脂肪のスペースが収縮し、組織が周囲に馴染むまでには時間を要します。バッカルファットの経過写真を時系列で比較検証すると、術後1ヶ月時点では約80〜90%の引き締まりを見せ、完成形とされるすっきりした輪郭に定着するまでには3ヶ月から半年程度の期間が必要です。
一方、バッカルファットの内出血の期間は、およそ7日から14日間(1〜2週間)が標準的です。切開部位が口腔内粘膜であるため、皮膚表面に鮮やかな紫色のアザが出るケースは全体の約15〜20%と限定的です。しかし、重力に伴って皮下に滲出液や微小出血が下がり、術後3〜5日目頃からフェイスラインから首元、デコルテにかけて黄色〜薄緑色の変色が現れる現象が珍しくありません。この変色はコンシーラー等で容易にカバーできる程度であり、2週間以内には自然に吸収されて消失します。
気になるバッカルファットの仕事復帰の目安について、リモートワークや身体を激しく動かさないデスクワークであれば、手術翌日または2日後からの業務再開が可能です。対面での接客業や営業職、長時間の会話が求められる職種の場合は、腫れが最も目立つピーク期間を避け、術後3〜4日間の休暇を確保するのが現場の医師からも推奨される安全策です。