スミスマシンのバーが驚くほど軽く動作する理由は、内部に搭載されたカウンターバランス(相殺錘)のメカニズムにあります。支柱となる左右の鉄製フレーム内部には、滑車を介して高張力ワイヤーでバーユニットと連結された専用のカウンターウェイト(錘)が内蔵されています。
この機構の物理的な仕組みは以下の通りです。バーベルを上へ持ち上げる際、裏側でカウンターウェイトが滑車を経由して下方向へ連動します。これにより、バー本体が持つ下向きの重力加速度に対して逆向きの上昇牽引力が常時働き、バーの実効的な自重が大幅に相殺されます。
一般的なカウンターバランス機構では、およそ10kg〜15kg相当の下向き引力が打ち消されるよう設計されています。その結果、物理的には約20kgあるバーユニットでありながら、利用者が手に受ける初動負荷は約4.5kg〜9kg前後にまで軽減されます。機種によってはカウンターウェイトがより重く設定されており、指先ひとつで支えられる「実質0kg〜2kg」の超軽量仕様に仕上げられたリハビリテーション・女性専用モデルも存在します。
一方で、カウンターバランスをあえて非搭載とした「ノーマルスミスマシン」も多数流通しています。このタイプはワイヤーや内部ウェイトが存在しないため、パイプ本体とガイドブロックの重みがそのままダイレクトに両手へかかります。結果として、初期重量が18kg〜22kg程度となり、フリーウェイトのシャフトと同等かそれ以上の重厚な負荷を初期状態から受けることになります。