従来の温浴施設における最大の悩みは、他人の目やマナーへの気遣いだった。サウナ室の温度調整や水風呂のタイミングを周囲に合わせる必要性は、時に無意識の緊張を生む。しかし、自室として用意された個室空間において、その制約は一切消失する。
熱したサウナストーンに自らの手でアロマ水を回しかけるセルフロウリュ。ジュウという快音とともに立ち上る芳醇な蒸気がサウナ室を満たし、発汗を促す。室温や湿度を指先ひとつでコントロールできる快感は、まさに格別だ。
加熱された身体を冷やすための水風呂も、もちろん自分一人だけのもの。10度未満の強冷水から、じっくりと浮遊感を味わえる18度の適温まで、自分好みのセッティングが施された水風呂へためらいなく飛び込む。そこから数歩の動線上に配置されたインフィニティチェアに深く腰掛けた瞬間、全身の血流が波打ち、究極のリラクゼーション状態である「ととのい」が訪れる。五感のすべてが研ぎ澄まされる感覚は、一度味わえば病みつきになる。