「世界選手権で勝ったのに、なぜかランキングが下がった」「大会に出ていない国が上位にいるのはなぜか」といった疑問を抱くファンは少なくありません。IIHF女子世界ランキングの推移を正しく理解するには、その特異なポイント計算の仕組みを把握する必要があります。
過去4年間の実績を年次逓減(デプレシエーション)する計算式
IIHFランキングは、単一の大会結果だけで決まるものではありません。2003年に導入された現行システムでは、「直近4年間のIIHF世界選手権」および「直近の冬季オリンピック」の順位が対象となります。
最大の特徴は、大会が古くなるにつれて獲得ポイントの価値が薄まる「年次減衰方式」を採用している点です。
- 当該年度(直近の大会):獲得ポイントの100%を反映
- 1年前の大会:獲得ポイントの75%を反映
- 2年前の大会:獲得ポイントの50%を反映
- 3年前の大会:獲得ポイントの25%を反映
- 4年以上前の大会:ポイントは消滅(0%)
優勝国には1200ポイント、準優勝には1160ポイント、3位には1120ポイントといった形で付与され、下位になるにつれてポイント幅が減衰します。重要なのは、「4年前に獲得した大きなポイント(例えば五輪6位のポイント)」が翌年には計算対象外となるため、直近の大会で同等以上の順位を取らなければ、他国が現状維持でも日本のポイント総計が急落し、ランキングが逆転される構造になっている点です。
国際情勢による「ロシアのポイント凍結」が生んだ歪み
さらにランキングを複雑にしているのが、ロシア(ROC)の処遇です。地政学的理由による国際大会除外措置を受け、ロシア代表は近年公式戦に出場していません。しかし、IIHFの規定により、出場停止期間中も除外前のランキングに基づいた「みなしポイント(フリーズポイント)」が付与され続けています。
そのため、現場で命を削って激突している日本やスイス、チェコといった国々の上位に、試合を行っていないロシアが書類上ランクインし続ける現象が発生しました。このランキングの歪みは、五輪のシード分けや組み合わせ抽選において実質的な「死の組」を生み出す要因として、各国関係者から議論の対象となっています。