愛媛の高校野球をめぐっては、外部から見たイメージと現場の実態との間にいくつかの大きな認識ギャップが存在します。代表的な3つの誤解を正しく検証します。
誤解1:「名門・松山商業は精神論だけで時代遅れの練習をしている」
ネット上で散見されるこの言説は、完全な事実誤認です。松山商業の現指導陣は、動作解析やスポーツ科学を積極的に取り入れたスマートな指導を行っています。部員のコンディション管理や食事指導、ウエイトトレーニングの数値管理は県内でもトップレベルの厳密さを誇ります。「伝統=精神論」ではなく、「伝統=幾多の修羅場をくぐり抜けて蓄積された勝負の呼吸」と捉え、それを近代科学でアップデートしているのが現在の姿です。
誤解2:「私立が県外の有力選手を乱獲して勝っている」
他県では時に議論を呼ぶ「越境入学」問題ですが、愛媛においては当てはまりません。聖カタリナ学園や済美に所属する選手の大多数は、愛媛県内および四国近隣の出身者です。地域密着型のジュニアチームやシニア組織との信頼関係を地道に築き、地元の子どもたちを丹念にスカウティングして育成するスタイルが基本であり、「県外タレント頼み」という批判は現場の実態を反映していません。
誤解3:「低反発バットの導入でホームランが完全になくなった」
確かに金属バット特有の「擦ったような当たりでのスタンドイン」は激減しました。しかし、下半身の力をバットの芯に的確に伝える正しいスイング軌道を身につけた打者は、新基準バットであってもフェンスを軽々と越える打球を放ちます。むしろ「ごまかしの効かない本物の長打力」を持つ打者と、そうでない打者の二極化が進んだというのがプロスカウトの一致した見解です。