2007年前後に巻き起こった「花畑牧場 生キャラメル」の大ブームは、凄まじい経済効果をもたらしました。手作業で煮詰める口どけの良さがテレビや雑誌で絶賛され、新千歳空港や百貨店の物産展には長蛇の列が出現。当時の年商は一時100億円を突破する急成長を記録しました。
しかし、模倣品の乱立やブームの沈静化に伴い、過剰に拡大した直営店舗網が重荷となり、売上は急降下します。世間が「花畑牧場もここまでか」と噂する中、田中義剛が打ち出した起死回生の一手が「自家製チーズ製造への本格シフト」でした。
着目したのは、日本の外食市場で需要が急増していた高品質なナチュラルチーズです。特に以下の商品群で圧倒的なシェアを獲得しました。
- ラクレットチーズ:『ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト』で最高賞を受賞するなど品質を磨き上げ、大手外食チェーンやファミリーレストランのメニューに大量採用。
- ブッラータ(生モッツァレラ):巾着状のモッツァレラの中に生クリームと繊維状チーズを詰めた人気商品を、日本国内でいち早く大量生産できるラインを構築。大手コンビニ(ローソン等)のスイーツやパスタ素材として供給。
- 常温保存可能なスナック・加工品:独自の含浸製法を用いた菓子などを開発し、大手流通グループのプライベートブランド(PB)を受託製造。
観光土産という「流行り廃りの激しい市場」から、大手流通チェーンの「定番棚」へと販路を移したことで、現在の花畑牧場の売上は数十億円規模で極めて安定した推移を見せています。