フェリチンとは、体内に鉄を安全に蓄えておくための球状のタンパク質です。鉄は人間が生きていく上で不可欠なミネラルですが、過剰に遊離すると強い毒性(活性酸素の発生)を持ちます。そのため、体積の大部分を占める肝臓や脾臓、骨髄などに「貯蔵鉄」としてストックされる仕組みになっており、その容器の役割を担っているのがフェリチンです。
よく混同されるのが「ヘモグロビン」との違いです。血液中のヘモグロビンはいわば「お財布に入っている現金」で、全身に酸素を運ぶために日々使われています。一方のフェリチンは「銀行の定期預金」に例えられます。血液中の鉄分が不足すると、まずは貯金であるフェリチンから鉄が引き出され、ヘモグロビンの濃度を一定に保とうとします。
つまり、ヘモグロビン値が基準内であっても、フェリチンが底をついていれば「口座残高がゼロのまま、財布の小銭だけで自転車操業をしている」状態です。これが、健診で異常なしと判定されても体調が優れない根本的なメカニズムです。