『Permission to Dance』の音楽的完成度を支えたのが、イギリスが生んだ世界的シンガーソングライター、エド・シーラン(Ed Sheeran)とのコラボレーションです。両者のタッグは、2019年のアルバム『MAP OF THE SOUL : PERSONA』に収録された名曲『Make It Right』以来、2度目の実現となりました。
エド・シーランは米国のラジオ番組に出演した際、「BTSのために新しい曲を書いたんだ。彼らは本当に素晴らしい才能を持っていて、僕の書いた曲を信じられないほどの次元へと引き上げてくれる」と自ら興奮気味に公表し、情報解禁前から大きな話題を呼びました。プロデューサーにはスティーヴ・マック(Steve Mac)やジョニー・マックデイド(Johnny McDaid)、ジェナ・アンドリュース(Jenna Andrews)ら世界屈指のヒットメーカーが集結。エドが得意とするアコースティックで温かみのあるメロディラインと、BTS特有のエネルギッシュなボーカルが見事な化学反応を起こしました。
そして、この楽曲の社会的ステータスを決定づけたのが、2021年9月にニューヨークの国連本部で開催された第76回国際連合総会「SDGモーメント(持続可能な開発目標のハイレベルイベント)」でのパフォーマンスです。
「未来世代と文化のための大統領特別使節」として登壇したBTSの7人は、壇上でのスピーチで、パンデミックに直面した若者たちを「ロストジェネレーション(失われた世代)」と呼ぶ風潮に対し、真っ向から異を唱えました。「恐怖によって立ち止まるのではなく、前を向いて新しい世界を歓迎する『ウェルカムジェネレーション』と呼ぶべきだ」と力強く提唱したのです。
スピーチ直後に公開された特別映像では、厳粛な国連総会議場からメンバーが歌い出し、ロビーを抜け、青空が広がる国連本部の屋外芝生広場へと飛び出していく圧巻の動線が描かれました。世界中の若者たちがマスクを外して笑顔で手話ダンスを踊るフィナーレは、閉塞感に打ちひしがれていた国際社会に対する強烈な希望の光となり、国連公式YouTubeチャンネルでの再生回数は公開から短期間で数千万回を突破しました。
ミュージックビデオのロケ地となった米カリフォルニア州の広大な砂漠地帯を思わせる乾いた大地、希望を象徴する「紫色の風船」、労働者たちの日常を象徴するコインランドリーやカフェの情景は、すべて「日常の回復」を予言する象徴的な舞台装置として綿密に設計されていたのです。