メディア論および現代ポピュラーカルチャーの観点から本作を総括すると、『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』は「冷戦後の自衛隊の存在意義と、日本の集団的自衛権・安全保障論議をエンターテインメントに昇華させた極めて特異な触媒」と評価できます。
単なる「俺TUEEE」系の異世界転生作品とは一線を画し、武器の整備手順、補給線の維持、現地住民との民生協力(CAP)、通訳を介した言語摩擦など、軍事組織が異邦の地で直面する現実の兵站・社会学的課題を精密にトレースしています。それゆえに、読者の志向性によって受容の仕方が極端に分かれる作品でもあります。
本作に触れるべきか迷っている方のために、客観的な判断基準を提示します。
【本作を心からおすすめできる人】
- 現代兵器のスペックや戦術運用、自衛隊のリアルな組織構造に強い関心がある人。
- 魔法やファンタジーの理不尽な脅威に対し、近代科学と規律ある組織力で理詰めの攻略を行うプロセスに快感を覚える人。
- 竿尾悟氏による重厚なミリタリー作画や、生々しい政治・外交の駆け引きを楽しめる人。
【視聴や読書に慎重になるべき人】
- 特定の国家(日本)を過度に美化したり、諸外国を悪役として描く政治的スタンスに強い抵抗感がある人。
- 残虐な人体損壊描写(四肢切断や火焔放射器による焼死など)や、女性キャラクターに対する性暴力・奴隷描写が苦手な人。
- 主人公が一人だけに純愛を貫く王道の恋愛ドラマを好む人(伊丹の周囲は特地特有の多妻制・ハーレム的空気が強いため)。