ネットやSNS上で頻繁に飛び交う「30分の外出ならつけっぱなしが正解」という説には、空調工学に基づいた合理的な根拠があります。その核心にあるのが、エアコンつけっぱなし何時間がお得かの理由を左右する「コンプレッサーの稼働負荷」です。
エアコンが最も電力を消費するのは、スイッチを入れた直後から部屋が冷える(暖まる)までのフル稼働時です。この立ち上がり局面では、室外機内のコンプレッサーが最高出力で回転し、定格消費電力を大幅に超える電力を消費します。一方で、一度設定温度に到達した後は、インバーター制御によって最低限の電力で室温を維持する「安定運転」へと移行します。
もし30分の外出でエアコンを切った場合、外気熱の侵入によって室温は急上昇します。帰宅後に再び電源を入れると、再びフルパワーの立ち上がり運転が発生し、大量の電力を消費することになります。実証データによると、エアコン30分外出つけっぱなし比較を行った場合、真夏の炎天下(外気温35℃以上)では「つけっぱなし」にした方が消費電力量を約10〜15%低く抑えられることが確認されています。
では、何時間を超えると逆転するのでしょうか。外気温35℃の標準的な気密住宅におけるシミュレーションでは、夏のエアコンつけっぱなし損益分岐点は概ね「35分〜40分」のラインに存在します。外出時間が1時間を超える状況では、たとえ再起動時の突入電力が高くついたとしても、消していた時間分の電力消費がゼロになるメリットが上回ります。つまり、エアコンこまめに消す電気代比較において、「1時間以上の不在なら迷わず消す」が経済合理性にかなった鉄則となります。