長期間にわたりメディア露出がないことから、インターネットの検索コミュニティでは「重病を患っているのではないか」「闘病中ではないか」といった憶測が散見されます。しかし、真野あづさの病気の噂の真相を追究しても、入院歴や重篤な疾患を裏付ける報道や医療関係者のリークは一切確認されていません。では、なぜ彼女は画面から距離を置くことになったのでしょうか。そこには3つの明確な要因が存在します。
第1の要因は、主戦場であった「地上波2時間ドラマ枠の衰退と消滅」です。日本テレビ系列の『火曜サスペンス劇場』が2005年に幕を閉じ、長年主演を務めたテレビ朝日系列の『土曜ワイド劇場』も2017年4月にレギュラー放送を終了しました。テレビ局の制作費削減と若年層向け編成へのシフトに伴い、真野あづさが得意とした重厚で上質なミステリーを制作する枠組みそのものが地上波から激減したという構造的問題があります。
第2の要因は、私生活における家族の看取りと自身のライフステージの変化です。真野あづさはかつて、高齢となった両親への深い愛情と介護の重要性について雑誌のインタビューで示唆していました。家族思いで知られる彼女にとって、親の介護や見守りは女優業以上に優先すべき人生の責務であったと考えられます。
第3の要因として挙げられるのが、表現者としての「美学と完璧主義」です。中途半端な役柄や納得のいかない企画で画面に出ることを良しとせず、求められる理想の役柄を全うしたからこそ、静かに幕を引くような形で活動をフェードアウトさせたというのが、真野あづさの引退理由に関する最も自然で説得力のある見立てです。