この巨大市場を牽引するトップの視線は、もはや国内の競合店だけを捉えてはいない。業界最大手「スシロー」を擁する株式会社FOOD & LIFE COMPANIESを率いる水留浩一は、徹底したデータ経営とグローバル調達網の再構築を断行してきた。JALの再建など数々の企業再生を手がけた辣腕は、勘や経験に頼りがちだった水産業界に冷徹な計数管理を持ち込み、世界の漁場から直接魚介を買い付けるアグレッシブな仕組みを築き上げた。
対するくら寿司株式会社の創業者、田中邦彦が掲げる哲学は対照的でありながら、同じく強固だ。四大添加物を排除した「無添加」へのこだわりを貫きつつ、特許を取得した抗菌寿司カバーや全自動会計システムを自社開発。食の安全性とエンターテインメント性を融合させた店舗体験を武器に、北米やアジア市場への進出を加速させている。
かつて『ガイアの夜明け』や『カンブリア宮殿』が幾度となく報じてきた両雄の激突は、いまやローカルなテレビ番組の枠を飛び越えた。海外の動画配信サービスNetflixで日本の食文化を追うドキュメンタリーが世界的なヒットを記録するなか、彼らが競い合うビジネスモデルそのものが、世界基準の外食イノベーションとして熱い視線を浴びている。