大学卒業後、情報誌で見つけた劇団員募集に応募したのがすべての始まりだった。しかし、華々しいスタートとは程遠い。当時の彼女は、引越し業者や葬儀の手伝いなど、ありとあらゆるアルバイトで食いつなぐ日々。演劇だけで食べていくことは不可能に近く、劇場を借りるためのノルマ代を払うだけで精一杯だったという。
「とにかく芝居がしたかった」。その一念だけで突き進んだ彼女の20代は、泥臭く、しかし誰よりも純粋だった。当時の舞台を知る関係者は「当時から圧倒的な存在感があったが、まさかこれほどの大女優になるとは」と振り返る。小劇場界で地道にファンを増やしながらも、世間的な知名度はほぼゼロに等しい時代が長く続いた。