岸田今日子のキャリアは、前衛的な芸術映画から大衆的なテレビドラマ、そしてアニメーションのキャラクターボイスまで、驚くほど多彩な広がりを持っています。
1964年公開の勅使河原宏監督による映画『砂の女』(安部公房原作)では、砂丘の底の家に閉じ込められた未亡人役を怪演。カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞するなど国際的な大絶賛を浴び、若い頃の妖艶さと神秘性を世界に知らしめました。一方、1969年に放送開始されたアニメ『ムーミン』では主人公・ムーミントロールの声を担当。その温かくどこか哲学的な語り口は、日本中のお茶の間に浸透しました。
さらに1974年の名作ドラマ『傷だらけの天使』では、探偵事務所の妖しい綾部貴子社長役を好演。萩原健一や水谷豊を翻弄するクールで冷徹な佇まいは、カルト的な人気を獲得しました。