ネット検索で頻出する「奈良コンピュータ専門学校 就職できない」という不穏な言説。この噂の真偽を検証するため、卒業生の追跡調査データおよびIT業界の採用動向を分析しました。結論から申し上げれば、「真面目に課題をこなし、ポートフォリオを構築した学生が全員就職できない」という事実は存在しません。しかし、火のないところに煙は立たないと言われる通り、そうした悪評が立つ明確な背景が存在しました。
IT専門学校におけるSE・プログラマー就職率は、名目上「90%以上」と華々しく掲げられるケースが一般的です。ただし、この数字の「内訳」を冷静に見極める必要があります。奈良県をはじめとする関西ローカルのIT市場において、未経験に近い新卒者を大量に受け入れるのは、自社開発企業ではなく、大手ベンダーの下請け・孫請けを担うシステムエンジニアリングサービス(SES)や特定労働者派遣企業が中心となる傾向があります。
過去の卒業生が語る体験談からは、現場の生々しい実態が浮き彫りになります。「学校の授業を聞いているだけでは、簡単なコーディングやOfficeソフトの基本操作で終わってしまう。放課後に自分でWebアプリケーションを開発したり、サーバーを構築したりしていた人間は自社開発企業や優良SIerに受かったが、受け身だった同級生はITとは無関係の販売職や、過酷な現場のテスター業務に流れていった」。
つまり、「就職できない」という風評は、学校の手厚いお膳立てだけで誰でも一流エンジニアになれると錯覚した層が、厳しい就職戦線に直面した末に吐き出した不満がネット上に蓄積された結果と言えます。自発的な開発実績を持たない学生にとって、地方からのIT就職は決して甘いものではありません。