ドラマのクライマックスを飾る第29話「さらば わが愛の時よ」(1976年4月16日放送)は、日本のテレビドラマ史における屈指の名場面として知られています。放射線医学総合研究所の事故現場でコバルト60の放射線を浴び、白血病を発症した17歳の大森幸子(山口百恵)の命の灯火は、激しい苦痛とともに残りわずかとなっていました。
幸子の実父である大島茂(宇津井健)と、彼女を一途に愛し抜く医大生の相良光夫(三浦友和)は、幸子の「生きたい」という願いに寄り添いながら最期の日々を支えます。最終回のハイライトとなるのは、病床を抜け出した幸子が光夫と共に海へ向かうシークエンスです。
光夫の手入れした小型ヨット「サチコ号」に乗り込み、大海原へと出航した2人。海風を受けながら光夫の腕に抱かれた幸子は、穏やかな微笑みを浮かべながら語りかけます。そして、朝陽が水平線を照らすなか、幸子は光夫の温もりを感じながら静かに眠るように息を引き取りました。画面いっぱいに広がる青い海と、山口百恵さんが歌う主題歌「ありがとう あなた」のストリングスが重なり合うこのラストシーンは、当時の日本全国を深い感動と涙で包み込みました。