食品表示法や日本農林規格(JAS)において、果汁100パーセント濃縮還元と表示される飲料は、文字通り「一度濃縮した果汁に水分を戻し、元の果汁の状態を再現したもの」を指します。収穫した果実を現地で丸ごと搾汁し、その果汁から水分を取り除いて体積を圧縮した中間原料(濃縮果汁)をベースに製造されます。
水分の除去には主に「真空蒸発濃縮法」が用いられます。液体は気圧を下げると低い温度で沸騰するため、果汁を真空に近い減圧環境に置くことで、約40℃〜60℃前後の比較的低温で水分を効率よく蒸発させることができます。これにより、加熱による果汁の焦げ付きや急激な熱劣化を抑えつつ、体積を約5分の1から6分の1程度までギュッと凝縮する仕組みです。このペースト状あるいは高粘度のシロップ状になった濃縮果汁は、マイナス18℃以下の冷凍状態でドラム缶などに充填され、消費地へと運ばれます。
国内のボトリング工場に到着した濃縮果汁は、厳格な品質管理のもとで解凍され、取り除いた水分と同量の純水(脱塩水や軟水)を加えて攪拌されます。この「水分を元の比率に戻す(還元する)」工程を経て、最終的に殺菌処理が行われ、紙パックやペットボトルに充填されます。元の果汁と同じ濃度(糖度・酸度基準)まで正確に戻しているからこそ、法律上「果汁100%」と名乗ることが認められているのです。
代表的な濃縮還元オレンジジュースの場合、ブラジルやアメリカ・フロリダ州などの広大な柑橘農場で搾られた果汁が、巨大な冷凍濃縮タンカーで日本へと運ばれてきます。広大な海を越えて年中変わらない品質を届けるために確立された、極めて合理的なフードサプライチェーンの結晶といえます。