この作品が与えたインパクトは、映画界だけにとどまらない。劇中で平山が愛読するパトリシア・ハイスミスや幸田文などの作品を出版する講談社をはじめ、日本の出版業界にも大きな波紋を広げた。
デジタル化が急ピッチで進む現代において、「100円の文庫本を大切に読み進める」という行為が、逆に若者世代や海外の読者にとって新鮮なライフスタイルとして映ったのだ。映画の影響で劇中登場作の増刷が決まり、実在の古書店を訪れる若者が急増するなど、紙の書籍が持つ手触りや価値が劇的に再評価されている。一冊の本と出会う場所としての「こもれび書店」は、出版文化の可能性を再び照らし出す光となった。