2026年現在の交通取り締まりにおいて、最も大きなパラダイムシフトが「生活道路・通学路への取締りシフト」です。警察庁が推進する最高速度30km/h制限の「ゾーン30」や小学校周辺のスクールゾーンにおいて、可搬式オービスの実戦配備が極めて高密度に行われています。
現場取材で確認された、移動式オービスの典型的な設置シチュエーションは以下の3パターンです。
- 通学時間帯(午前7:00〜8:30)のスクールゾーン:歩道と車道の区別が曖昧な抜け道。住宅街の角や電柱の影に三脚を立て、少し離れた場所に私服・制服警察官が待機する。
- 見通しの良い片側1車線の直線路:制限速度が40km/hまたは50km/hに抑えられているにもかかわらず、交通の流れが60km/hを超えやすい幹線バイパス。
- 深夜・早朝の幹線道路合流部:交通量が激減し、大幅な速度超過が発生しやすい時間帯・区間。
ここで多くのドライバーが疑問に抱くのが、「移動式オービスの予告看板の有無」です。かつての固定式オービスの手前には、必ず「自動速度取締機 設置区間」といった青い警告看板が2〜3箇所設置されていました。これは前述の肖像権問題をクリアするため、「あらかじめ警告した上で撮影している」という手続きを踏んでいたためです。
しかし、可搬式取締りに関して警察庁は、「警察官が現場で直接現認しながら運用しているため、通常の現場取り締まりと同等であり、事前予告看板の設置は法的に義務付けられていない」との見解を示しています。一部の県警では地域住民への周知として簡易看板を出す事例もありますが、「予告看板が一切ない状態での可搬式取締り」は完全に合法として各地で運用されています。「看板がなかったから無効だ」という異議申し立ては通用しません。