「東京コケコッコ本舗 阿佐ヶ谷店」を巡るネット情報の中には、事実と異なるいくつかの誤解が混在しています。その代表例が「チェーン全体の完全消滅」や「経営破綻による即時閉店」といった極端な言説です。
実際の業界構造を紐解くと、2020年から2022年にかけて巻き起こった「から揚げ専門店ブーム」は、参入障壁の低さから全国で急激に店舗数が増加しました。しかし、2023年以降は輸入鶏肉価格の高騰、食用油の急激な値上げ、電気・ガス代の上昇という三重苦が直撃します。多くの専門店が100gあたりの価格を300円台後半へ引き上げざるを得なくなり、スーパーの惣菜コーナーやコンビニエンスストアとの価格競争力を失っていきました。
阿佐ヶ谷店においても、単に集客力が落ちたというよりは、原材料インフレと店舗家賃のバランスが崩れたことによる採算性の見直しが撤退の主因です。阿佐ヶ谷駅周辺は商業地としてのポテンシャルが高い反面、坪単価あたりの賃料水準も高位で推移しています。薄利多売モデルを前提とした小規模テイクアウト店が生き残るには極めて過酷な環境へと変化したことが、同店が歴史に幕を下ろす契機となりました。