茨城県東海村のウラン加工工場、株式会社ジェー・シー・オー(JCO)の敷地内で連鎖反応が制御を失った瞬間、現場の空気は一変した。作業手順の度重なる逸脱、正規のマニュアルを無視した裏マニュアルの存在、そして効率を最優先した企業の安全軽視。すべてが重なり合って引き起こされた人災だった。
大内久さんは沈殿槽の真上に位置し、ウラン溶液を注ぎ込む漏斗を支えていた。至近距離から浴びた中性子線は、彼の体を容赦なく貫通する。放射線医学総合研究所(放医研)へ緊急搬送された直後、彼の外見には火傷のような目立った外傷は見当たらなかった。しかし、体内ではすべての白血球が消滅へと向かい、生命を維持するための細胞分裂機能が完全に停止していた。