韓国を揺るがすトロットとは?日本の演歌との違いや爆発的ブームの深層

韓国を揺るがすトロットとは?日本の演歌との違いや爆発的ブームの深層

韓国を揺るがすトロットとは?日本の演歌との違いや爆発的ブームの深層に関する知りたいポイントを初心者にも親しみやすくまとめました。今すぐチェックことができます。

トロットが韓国社会で巻き起こした地殻変動は、単なる懐古趣味の再燃ではありません。2019年に放送された総合編成チャンネルTV朝鮮のオーディション番組『明日はミストロット』、そして翌2020年の『明日はミスタートロット』が最高視聴率35.7%という驚異的な数値を叩き出したことが発火点となりました。

この番組の覇者として王座に君臨したのがイム・ヨンウン(Lim Young-woong)です。彼が歌うトロットは、従来の過剰な節回しを削ぎ落とし、現代的なバラードの歌唱技術を融合させた洗練されたポップスでした。苦難の下積み時代を経て母親への感謝を歌う彼の真摯な人間性は、若年層からシニア層まで全世代の胸を打ちました。韓国の大手音楽配信サイトMelonのトップ100チャートにおいて、BTSやNewJeansといった世界的K-POPグループを抑えてイム・ヨンウンの楽曲が上位を独占し続けた光景は、現地エンタメ界の権力構造が完全に塗り替わった瞬間を象徴しています。

若者がトロットに熱狂する背景には、韓国社会特有の心理的要因も絡んでいます。過酷な受験競争や就職難、格差社会(スプーン階級論)に疲弊した20代・30代にとって、直情的に親の愛や人生の哀歓を肯定するトロットの歌詞は、自己防衛的なアイロニーを解きほぐす「心の避難所」として機能しました。また、親世代の好きな音楽を一緒に楽しみ、親の「推し活」を若者がSNSやストリーミング操作で手助けする過程で、世代間コミュニケーションの修復ツールとして機能したこともブームを盤石にした要因です。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。