なぜ警戒心を持ちながらも、客引きについていってしまう人が後を絶たないのでしょうか。ここには人間心理を巧みに突いた構造的な罠が存在します。
第1に、「親近感と返報性の悪用」です。「お兄さんカッコいいね」「服好きなの?」と自尊心をくすぐる言葉を投げかけ、フレンドリーに接することで「無下には断りにくい」という心理的負債感を抱かせます。
第2に、「密室における同調圧力と認知的不協和」です。店舗に入ってしまうと、体格の良い店員たちに囲まれ、正常な判断力が低下します。「早くこの気まずい空間から抜け出したい」という心理が働き、数千円を支払ってでもその場を丸く収めようとする防衛本能が作動してしまうのです。