混雑を伝える日本語には豊かなバリエーションが存在します。状況に応じて類語を使い分けることで、情景の解像度は格段に上がります。
代表的な類語である「すし詰め」は、握り寿司や押し寿司を箱に隙間なく詰める様子から来ています。電車の中など、「密閉された四角い箱の中に人が微動だにできず押し込まれている静的な密集」に適した表現です。
一方、「ごった返す」は様々な種類のものが混ざり合い、秩序なく混乱している状態を指し、市場や繁華街の雑踏に向いています。また、人波が押し寄せるさまを言う「黒山の人だかり」は、遠目から見て頭髪で黒く染まっているような野次馬の密集を指します。
これらと比較すると、「芋洗い」は「水気・汗」「肌と肌のぶつかり合い」「揉みくちゃに揺れている」という皮膚感覚を伴う生々しさが最大の特色です。