現場の厩舎関係者やトラックマンの証言を丹念に追うと、二桁人気の伏兵が上位へ食い込む際、そこには必ず「偶然ではない物理的兆候」が刻まれています。激走穴馬の決定的な理由を紐解く上で、決して無視できないのが以下の3大要素です。
第1に、パドック調教タイムに見られる急変です。競走馬は生き物であり、バイオリズムが存在します。美浦・栗東トレセンの坂路やウッドチップコースにおいて、前走時と比べて「ラスト1ハロンの減速幅が極端に小さい」「馬なりで自己ベスト時計をマークしている」といった変化は、厩舎の勝負気配を雄弁に物語ります。さらにパドックにおいて、歩様の硬さが取れ、トモ(後肢)の踏み込みに力強さが戻っている馬は、前走大敗の着順が嘘のような一変を見せます。
第2に、開催時期に応じた馬場コンディションとトラックバイアスです。例えば、中山競馬場の芝2200m(オールカマーなど)では、秋の開幕直後でインコースが極端に有利な状況や、連続開催でインが荒れて外差しが決まる馬場など、週ごとに有利なポジションが反転します。前走で内伸び馬場の外を回らされて大敗した馬が、今回インをロスなく立ち回れる枠順を引いた場合、着順の数字だけを見て軽視する一般ファンを尻目に大激走を果たすのです。