ネット上の愛らしい動画だけを見てお迎えした初心者が、数週間で絶望に突き落とされる主な要因が「叫び声」「脂粉」「破壊力」という三大障壁です。この現実を直視せずに飼育をスタートさせることは極めて危険です。
第1の壁は、ジェット機の直下や電車のガード下に相当する「100〜110dB以上」の鳴き声です。特にキバタンの朝夕の「雄叫び」や、タイハクオウムが飼い主を呼ぶ「呼び鳴き」は、木造住宅はもちろん一般的なRC造マンションの壁をも容易に貫通します。防音対策としては、防音カーテン程度では全く歯が立たず、特注の複層アクリルケージカバー(約10万〜20万円)の設置や、二重サッシ・部屋全体の防音室化(150万〜300万円規模の改修工事)が実質的な必須条件となります。
第2の壁は、羽毛を保護するために体内から分泌される白い微粉末、すなわち「脂粉(パウダーダウン)」です。キバタンもタイハクオウムも鳥類屈指の脂粉量を誇り、ケージ周辺を1日掃除しないだけで、まるで小麦粉を撒き散らしたかのように白く染まります。これが原因で飼い主や同居家族が重度の鳥関連過敏性肺炎や喘息を発症するリスクがあり、高性能な医療グレード空気清浄機の常時複数台稼働が不可欠です。
第3の壁が、クルミを殻ごと一瞬で粉砕する強大な嘴の噛む力です。タイハクオウムの甘噛みであっても人間の皮膚を容易に裂傷させ、本気で噛まれた場合は指の神経損傷や骨折事故に直結します。「昨日までベタ慣れだったのに、発情期に入った途端に突然本気配線で襲いかかられ救急外来に駆け込んだ」という飼育者の悲痛な告白は、コミュニティ内で決して珍しい話ではありません。