妻を「嫁」と呼ぶのは失礼?嫁とは本来誰のことか誤用の真相を徹底解説

妻を「嫁」と呼ぶのは失礼?嫁とは本来誰のことか誤用の真相を徹底解説

妻を「嫁」と呼ぶのは失礼?嫁とは本来誰のことか誤用の真相を徹底解説についての疑問解決ガイドをお届けします。

なぜ息子の配偶者を「よめ」と呼ぶようになったのか、その語源と由来を紐解くと、古代日本の生活様式に行き着きます。定説とされているのは、夜に訪れる女を意味する「夜女(よめ)」説や、稲作文化において春に芽吹く神聖な女性を指した「良き女(よきめ)」が転じたとする説です。かつて招婿婚(妻問ひ婚)が主流だった時代には、婚姻における女性側の神聖さや季節の祝祭性が色濃く反映されていました。

しかし、中世武家社会から明治民法へと続く過程で「家制度(家父長制)」が確立されると、そのニュアンスは劇的に変質します。女性は「家に嫁(とつ)ぐ存在」、すなわち夫の家系を維持し、家長やその親に仕える労働力・跡継ぎを産む役割として制度化されました。この歴史的文脈において、「息子の嫁呼び方」は家長が上位から下位の成員を指し示す上下関係の記号として機能してきた背景があります。

日本語には「妻」「嫁」「家内」「女房」といった多彩な配偶者呼称が存在しますが、これらは身分秩序や生活領域と密接に結びついていました。平安貴族の部屋(房)を与えられた女官を起源とする「女房」、文字通り家の内側で家事を担う者を指した「家内」など、それぞれが特定の役割や領域を限定する性質を持っていたのに対し、「妻(つま)」だけは古代から男女を問わず「連れ添う半身」を意味する対等な語義を保ち続けています。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。