映画会社「東宝」が放ったドル箱シリーズの第6作『エレキの若大将』(1965年公開)は、社会現象と呼ぶにふさわしい大ヒットを記録した。劇中で加山雄三が演じる主人公・田沼雄一が仲間たちとバンドを結成し、コンテストで演奏するシーンは、日本中の若者を熱狂の渦へと巻き込んだ。
当時、エレキギターは「不良の音楽」「青少年の非行の原因」として学校や地域社会から激しいバッシングを受けていた。しかし、スポーツ万能で爽やか、誰からも愛される「若大将」がモズライトをかき鳴らす姿は、その偏見を一網打尽にしたのだ。
東宝のスクリーンを通じて届けられた圧倒的なカッコよさは、全国の少年たちを楽器店へと走らせ、一大エレキブームの決定打となった。映画と音楽のメディアミックスという点でも、極めて先駆的な成功例だったと言える。