元谷外志雄氏の出発点は、決して恵まれた財閥やエリート街道ではありませんでした。1943年に石川県小松市で生まれた元谷氏は、県立小松高校を卒業後、家庭の経済的事情から大学進学を断念し、地元の小松信用金庫(現・北空知信用金庫等の合併変遷を経た信金網)に入社します。
信金時代に培った徹底的な財務眼と融資審査の裏表、土地の価値を見抜く嗅覚が、後の不動産ビジネスの土台となりました。1971年、27歳で独立し「信金融資産業」(現アパグループの前身)を創業。注文住宅や建売住宅の開発からスタートし、マンション事業、そして1980年代からはホテル事業へと舵を切っていきます。
元谷氏の経歴における最大の転機は、バブル崩壊とその後の金融危機でした。バブル絶頂期に周囲が浮かれる中、地価の高騰を危険と判断して保有資産を売り抜け、バブル崩壊後に土地価格が暴落したタイミングで底値買いを決行。この徹底した逆張り戦略によって、地方の一不動産業者から全国規模のメガチェーンへと飛躍を遂げたのです。