高校受験生やその保護者から「早稲田高校を高校入試で受けられないのか」という落胆の声が今も聞かれます。同校は2018年度(平成30年度)入試を最後に高校からの生徒募集を完全に停止し、現在は中学入試のみの完全中高一貫校へと移行しました。
この高校募集停止に踏み切った理由について、学校側が当時発表した方針および教育ジャーナリストによる分析から、主に3つの明確な要因が浮かび上がります。
第1に、カリキュラムの進度差の解消です。かつての早稲田高校は、中学入試で約200名、高校入試で約100名を募集する構造でした。しかし、中学入学生がすでに数学や英語で高校課程に突入している中、高校から入学した生徒を別クラスで猛スピードで追いつかせる編成は、教育課程の進行において大きな負荷となっていました。高校入試を廃止し、全員を中学1年生から同一カリキュラムで指導することで、無駄のない6年一貫教育の深度化が可能になったのです。
第2に、大学受験に向けた戦略的先取り体制の完成です。完全中高一貫化により、中学3年間で中学校課程を終了させ、高校1・2年で高校課程を修了、高校3年次は丸1年を受験演習に充てるという「超進学校の標準勝利パターン」を全生徒に均一に適用できるようになりました。この指導体制の確立こそが、近年の東大合格実績の底上げをもたらした最大の構造改革です。
第3に、首都圏高校入試市場における優秀層の奪い合いの激化です。都立日比谷高校をはじめとする公立名門校の復権、慶應義塾高校や早大学院への高校受験生の集中など、高校募集枠100名に対して最難関レベルの男子生徒を安定確保することが年々難しくなっていました。それならば、中学受験市場で極めて高い人気を誇る小学6年生の募集定員を拡大(約300名へ)したほうが、学校全体の学力水準と進学実績を向上させられるという極めて合理的かつ戦略的な経営判断だったと言えます。