インターネット上で広く語られる「ハナミズキは9.11への祈りから生まれた」という言説。このハナミズキの歌詞における9.11の真相は、単なるファンの推測ではなく、一青窈自身が過去のドキュメンタリー番組や手記で明言している紛れもない事実です。
2001年9月11日、ニューヨークで発生した米同時多発テロ事件。当時、現地には一青窈の大切な友人が滞在していました。通信が途絶え、凄惨な映像が世界中を駆け巡る中、友人の無事を祈りながらノートに書き殴った感情が、本作の原点となっています。ハナミズキの誕生秘話エピソードによると、初期の原稿は3枚の用紙にびっしりと怒りと悲痛な叫びが綴られていたといいます。
しかし、彼女はその感情のままに歌うことを選びませんでした。憎しみを言葉にすれば、新たな憎しみを呼んでしまう。激しい感情を推敲に推敲を重ねて削ぎ落とし、1週間以上かけて純化させた結果残ったのが、「平和への祈り」であり、「君と好きな人が 百年続きますように」という言葉でした。ハナミズキの「百年続きますように」の意味とは、単に100年という時間を指すのではなく、戦争やテロの連鎖を断ち切り、次の世代、そのまた次の世代まで平穏な日常が続いてほしいという人類規模の願いだったのです。