宮崎ラーメンの歴史を語る上で欠かせないのが、昭和28年創業の「ラーメンきむら」を源流とする伝統のスタイルです。あっさりとした口当たりの豚骨スープに、柔らかめの中太ストレート麺、そしてシャキシャキのモヤシと甘辛いメンマ、ニンニク醤油のアクセント。この宮崎固有の食文化をさらに進化させ、昭和から平成にかけて不動の地位を築いたのが名店「栄養軒」でした。
「らーめん本舗さといも」の創業者は、何を隠そうその栄養軒を創業し、長年にわたり厨房に立ち続けた伝説の職人です。一度は体調を崩して現場を弟子に譲り第一線を退いたものの、体調が回復したのちに「もう一度、自らの手で理想の一杯を届けたい」という情熱から、2009年に宮崎市大島町で立ち上げたのが本舗さといも大島本店でした。つまり、さといもが提供するラーメンは新興勢力のインスパイア系などではなく、宮崎ラーメンの王道を築き上げてきた匠の手による「正統なる直系進化形」なのです。
屋号の「さといも」というユニークなネーミングから、初訪問の観光客の中には「里芋がトッピングされているのか」「イモを使ったポタージュ系スープなのか」と勘違いする方も少なくありません。しかし実際には里芋は一切使用されておらず、創業者の愛称や親しみやすさを込めて名付けられたもの。気取らない庶民的な温かさと、丼の中に込められた職人の矜持とのコントラストもまた、多くのファンを惹きつけてやまない魅力となっています。