ガイドマップの記述を鵜呑みにして九段下駅を選択した参拝者が、現場で直面する最大の障壁が「九段坂」の急勾配です。標高データによると、九段下交差点(標高約8m)から靖国神社境内(標高約20m)にかけて、わずか数百メートルの間にビル4階分に相当する約12mの高低差が存在します。真夏の炎天下や重い荷物を抱えた状態でのこの登坂は、数字以上に体力を奪います。
さらに顕著な混乱が生じるのが、7月中旬の「みたま祭り」や正月三が日の初詣期間です。祭礼時を取材した現場記録によると、夕刻以降の九段下駅1番・2番出口周辺は歩行者で完全に飽和し、警察による雑踏警備(DJポリス出動)と一方通行規制が実施されます。参拝を終えて帰路に就く際、九段下駅の地下階段から地上広場まで数百メートルの入場待機列が伸び、改札を通過するまでに40分以上を要する事態が日常茶飯事となっています。
こうした極限状況において、みたま祭り最寄り駅の分散戦略として威力を発揮するのがJR線への迂回です。境内裏手の遊就館側から早稲田通りへ抜けてJR中央総武線飯田橋駅へ向かうか、あるいは靖国通りを西へ直進して市ケ谷駅へ抜けるルートを選択すれば、九段下の過密地獄に巻き込まれることなく、平常時と変わらない所要時間で電車に乗車できます。過密期の安全管理という危機管理の観点からも、複数の退路を把握しておくことは不可欠です。