「ホワイトティー」という呼び名は英語表記に由来しますが、東洋の茶文化においては六大茶類(緑茶、白茶、黄茶、青茶/烏龍茶、紅茶、黒茶)に分類される伝統的な「白茶」を指します。ホワイトティー白茶の読み方は、日本語では「はくちゃ」、中国語の発音では「パイチャ(báichá)」と呼ぶのが一般的です。
最大の特徴は、茶葉の見た目にあります。春のわずかな期間にのみ手摘みされるカメリアシネンシス(茶樹)の先端の新芽(芯芽)には、「白毫(はくごう)」と呼ばれる銀白色の細かな産毛がびっしりと生えています。この茶葉を乾燥させた姿がまるで白銀の針のように見えることから、ホワイトティーの名が授けられました。カップに注いだお茶の色は白ではなく、淡いシャンパンゴールドや澄んだ杏色をしています。
では、なぜこのお茶が歴史的にホワイトティー幻のお茶と呼ばれる理由となったのでしょうか。中国・福建省の茶農家や茶文化研究機関の記録を紐解くと、以下の歴史的・地理的背景が浮かび上がります。
- 極めて限られた収穫期間:最高品質の茶葉は、早春のわずか数日、まだ朝露が残る晴天の午前中にしか手摘みできないという厳しい自然条件が存在します。
- 歴代皇帝への専属献上品:宋代の皇帝・徽宗(きそう)が愛したことでも知られ、清代に至るまで宮廷の特権階級しか口にできなかった門外不出の歴史があります。
- 人の手を加えない職人技:揉み込み(揉捻)や高温加熱による発酵停止(殺青)を行わず、日光と風の力だけでじっくり萎凋(放置して水分を蒸発させる工程)させるため、天候に出来栄えが左右され、大量生産が極めて困難でした。
かつては限られた貴族だけが享受できた恩恵が、現代においてウェルビーイングを重視する世界中のティーラバーへと届くようになったのです。