日本ファッション界の巨匠・桂由美が長年唱え続けた「一着の服を大切に仕立て、長く愛する精神」は、今やブライダルシーンを超えて日常の衣生活全般に根付きつつある。
こうした意識変革を後押ししたのがメディアの影響だ。映画『繕い裁つ人』では、仕立て屋が服に新たな命を吹き込む美しさが情緒豊かに描かれ、多くの観客の手芸への情熱を呼び覚ました。また、長年愛されるNHK『すてきにハンドメイド』などの番組でも、日常着のリメイクや手縫いの楽しさが連日紹介され、世代を超えたハンドメイドブームを牽引している。
既製品を使い捨てる時代は終わりを告げた。自分の手で服を補修し、リメイクする行為そのものが、現代人にとって豊かな精神性をもたらす贅沢な時間となっている。