レバノンの金持ちはなぜ桁外れか?経済危機と世界を制す富豪の真相

レバノンの金持ちはなぜ桁外れか?経済危機と世界を制す富豪の真相

レバノンの金持ちはなぜ桁外れか?経済危機と世界を制す富豪の真相についての真相をご紹介します。

世界各地で「なぜレバノン人はこれほどビジネスに強いのか」を語る上で欠かせないのが、本国を遥かに凌ぐ規模を持つディアスポラ(国外離散民)の存在です。現在、レバノンの国内人口は約500万人に過ぎませんが、国外に暮らすレバノン系住民は世界中で1,200万人から1,400万人に達すると推計されています。 その最高峰に君臨するのが、メキシコの通信王カルロス・スリム・エルー氏です。純資産1,000億ドルを超え、ビル・ゲイツ氏を抑えて世界一の富豪の座に輝いた経験を持つスリム氏は、レバノンからメキシコへ移住したキリスト教徒の父の元に生まれました。彼は生前、父親から商売の複式簿記を幼少期に叩き込まれたと語っています。カルロススリムレバノン系であることは世界的に広く知られており、メキシコだけでなく中南米全土の通信網を掌握しています。 ブラジル元大統領のミシェル・テメル氏、米国の有名投資家やシリコンバレーの有力起業家、さらには西アフリカ(コートジボワール、セネガル、ナイジェリアなど)で貿易・資源流通・スーパーマーケット網を牛耳る商業エリートたちなど、枚挙にいとまがありません。レバノンディアスポラ成功理由には、歴史的・文化的な3つの強靭な原動力があります。 第一に、古代地中海を支配した「フェニキア商人」の末裔としての商才と多言語能力です。レバノン人の多くはアラビア語、フランス語、英語を極めて流暢に操るトライリンガルであり、異なる文化圏の隙間に入り込んで仲介貿易を行う卓越したスキルを持っています。まさに歴史的なレバノン人ビジネス商人のDNAです。 第二に、19世紀後半のオスマン帝国末期や1975年から1990年のレバノン内戦による「生存本能」です。内戦で国を追われた難民たちは、ゼロから現地社会で生き抜くために商売を始めるしかありませんでした。「国や政府は信用できない。信じられるのは家族とキャッシュだけだ」という徹底した個人主義とリアリズムが、彼らを猛烈な起業家へと駆り立てたのです。 第三に、世界中に網の目のように張り巡らされた血縁・宗派ネットワークの結束力です。中南米に移住した同郷人が西アフリカの親族から原材料を仕入れ、湾岸諸国のレバノン系金融マンが資金を用立て、欧州の拠点で決済する。このボーダレスな互助システムこそが、一国が経済危機に陥っても揺るがない強固な経済圏を生み出しています。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

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