従来の「油とタイヤの匂いが漂う巨大パーツショップ」というイメージを覆したのが、APITオートバックス柏沼南リニューアルです。東京都江東区の東雲に続く新業態旗艦店として生まれ変わった同施設は、「クルマを通じて豊かなライフスタイルを提案する」というコンセプトを掲げています。
店内にはブック&カフェとして「TSUTAYA BOOKSTORE」と「スターバックス コーヒー」が誘致され、カーインテリア、アウトドアギア、アパレル、ヴィンテージ雑貨が洗練された什器にディスプレイされています。かつてのスーパーオートバックス時代を知る利用者が訪れると、その劇的な変貌ぶりに驚くはずです。
この業態変更は、利用者の待ち時間体験を根本から変えました。従来の作業待合室といえば、無機質なパイプ椅子に腰掛け、テレビモニターの呼び出し番号をじっと見つめる苦行の空間になりがちでした。しかし現在の店舗では、ピットに愛車を預けた後、上質なコーヒーを片手に専門書をめくり、厳選されたキャンプギアを眺めながら過ごせます。待ち時間が「退屈な待機」から「心地よい消費行動」へと再定義されたのです。
ただし、このリニューアルには副作用もありました。「従来のスパルタンな売り場が好きだった」「一般的な消耗品を探すのにフロアを歩き回らなければならず、探しにくい」という古くからの常連客による戸惑いの声です。実用重視の量販店からライフスタイル型セレクトショップへのシフトは、利便性と情緒的価値の間で現在も議論を呼んでいます。