歌舞伎の家に生まれた男たちの宿命は重い。兄である中村勘九郎が早々に結婚し、次世代の役者を育てている現状において、弟である中村七之助に寄せられる期待は特別なものがある。中村屋の看板を守るという使命は、ふたりの兄弟が手を取り合って果たしてきたものだ。
「兄が家を守り、弟が舞台を広げる」と言われた時代もあった。しかし、中村屋の血脈と伝統芸能の継承を考えると、いつまでも独身のままでいられるわけではない。舞台上での比類なき存在感とは裏腹に、実生活での彼の決断に対しては、贔屓筋からの無言の圧力がかかり続けているのも事実だ。