マリーナベイサンズ倒壊はデマ?傾き疑惑とコナン破壊劇の真相

マリーナベイサンズ倒壊はデマ?傾き疑惑とコナン破壊劇の真相

マリーナベイサンズ倒壊はデマ?傾き疑惑とコナン破壊劇の真相とは一体何なのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。

噂が一人歩きした背景には、映画の影響だけでなく、建物の外観そのものが抱える「視覚的な異様さ」と、建設当時の施工経緯に対する誤解が存在します。マリーナベイ・サンズのタワー1は、東側の棟が最大52度という極端な傾斜角をもって建設されており、地上23階付近で西側の直立棟と合体するという前代未聞の構造を採用しています。この急激な斜め形状を見た旅行者が「建物が傾いている」「地盤沈下や欠陥工事ではないか」と直感的な疑念を抱くケースが後を絶ちません。

一部のネット掲示板やSNSでは、「日本の大手ゼネコンが構造上の危険性から入札を辞退し、韓国の双竜(サンヨン)建設が無謀にも引き受けたため欠陥が生じている」といった言説が流布されています。しかし、これは事実を著しく歪曲した偏向情報です。

実際の開発史を紐解くと、設計を担当したのは世界的な巨匠モシェ・サフディ(Moshe Safdie)氏であり、構造設計は超高層建築の権威である英エンジニアリング企業アラップ(Arup)が担当しました。トランプのカードを立てかけたような傾斜構造は、欠陥ではなく最初から計算し尽くされたデザインです。施工を担当した双竜建設は、工事中に建物が自重で倒れないよう、プレストレスト・コンクリート技術(内部に高強度鋼線を張り巡らせて張力をかける工法)や仮設の傾斜支柱を駆使し、ミリ単位の精度で工期を完遂させました。

シンガポール建築建設庁(BCA)による厳格な構造検査をすべてクリアしており、竣工から15年以上が経過した現在も構造体の沈下や異常変形は一切観測されていません。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。